島に灯す人たち【五島市】

福江みなとまつり・ねぶた 開催日|2026年9月26日(土)・27日(日)

〜お話を伺った方〜
吉田 慎太郎(よしだ しんたろう)さん
《ねぶた運行責任者》 昭和53年生まれ。両親がねぶたに関わっていたことから、幼い頃から福江のねぶたに参加。小学4年生から笛や太鼓を担当し、22歳から運営側に携わる。現在は、ねぶた運行全体を取りまとめている。

商店街から始まり、五島市の祭りへ

福江みなとまつりの前身となる「福江まつり」が始まったのは、昭和32年の秋。商業・農業・漁業を一つにまとめ、市民が参加する祭りとして開催されました。その根底には、日頃から商店街で買い物をしてくれる地域の人たちへ、祭りを通して恩返しをしたいという思いがあったといいます。昭和37年の福江大火によって祭りは一時中止となりましたが、昭和41年に復活。さらに祭りを盛り上げるため、当時の関係者が知恵を絞り、昭和52年に青森から2基のねぶたを導入しました。その後、福江港の整備を記念して「福江みなとまつり」へと改称。参加する団体も次第に増え、商店街の祭りから、五島市全体でつくる祭りへと発展してきました。

華やかな運行を支える、祭りの舞台裏

今年の福江みなとまつりでは、11台のねぶたを、土曜日と日曜日を合わせて約23団体が引く予定です。祭りが近づくと、参加団体がねぶた倉庫に集まり、11台のねぶたを一斉に外へ出して状態を確認します。破れた部分に和紙を貼るなど、それぞれの団体ができる範囲で補修を行い、本番に備えます。当日は、参加人数や進行状況が団体ごとに異なるため、すべてのねぶたが決められた時間内に運行を終えられるよう、細かな調整が必要です。吉田さんは、列の先頭から最後尾まで何度も行き来しながら、運行全体の流れを見守ります。

海を越えて五島にやってきた、新しいねぶた

生まれた時から福江のねぶたに親しんできた吉田さんには、いつか本場の青森ねぶた祭に参加してみたいという思いがありました。2019年、JCIでの活動をきっかけに、青森JCIの協力を得て、跳人(ハネト)として本場の青森ねぶた祭に参加しました。

「ねぶたの数も、参加する人も、見物する人も本当に多くて、規模の違いに驚きました。本場の熱気はすごかったです」

その後、JCIが運行するねぶたを新しくしようという話が持ち上がった際、青森で築いたつながりが架け橋となりました。毎年ねぶたを制作している青森の油川幼稚園から、実際に青森で運行されたねぶたを譲り受け、令和5年に五島へ運搬。令和6年の福江みなとまつりで、初めてお披露目されました。

「祭りがあるから、五島へ帰ろう」

吉田さんが思い描くのは、お盆や正月だけでなく、「福江みなとまつりがあるから、五島へ帰ろう」と思ってもらえる祭りです。子どもの頃に祭りへ参加した人が、いつか自分の子どもを連れて帰ってくる。町を進むねぶたの光は、祭りの歴史だけでなく、五島を離れた人の記憶や、次の世代への思いも照らしています。福江のねぶたは今年で49年目を迎え、来年はいよいよ50周年です。福江の秋の夜に灯る光は、人から人へと受け継がれながら、これからも町を進んでいきます。

CHECK|初めて見るなら「本部前」がおすすめ

本部前では、ねぶたを引く団体の紹介がアナウンスされます。それぞれの団体について知りながら楽しめるため、初めて福江のねぶたを見る人にもおすすめの観覧場所です。

POINT|見るだけでなく、参加して楽しもう

ねぶたを引くほか、笛・太鼓・跳人・運営のお手伝いなど、さまざまな参加方法があります。福江地区や商店街の関係者に限らず、市内各地区や別の島からの参加も可能です。個人はもちろん、クラブや団体単位でも参加できます。

参加・問い合わせ|0959-72-3108 福江みなとまつり協賛会(福江商工会議所内)

【取材・執筆・掲載】fully編集部
【掲載先】fullyGOTO2026秋号

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