六社神社大祭・おぢか女子みこし
開催日|毎年10月14日/時間|おのぼり14:30頃〜

〜お話を伺った方〜
佐藤 衆子(さとう しゅうこ)さん《おぢか女子みこし創設者》
小値賀町出身。進学を機に島を離れ、関西で就職。8年前、家業を手伝うため、夫と3人の子どもとともに家族5人で島へ戻ってきた。『子どもたちにはいろいろな経験をしてほしい』という思いから、おぢか女子みこしを立ち上げた。
受け継がれてきた祭りに、新しい出し物を
六社神社大祭の「おのぼり」では、10月14日に神様を六社神社へ送り届けるため、農業と漁業の神様を乗せた2基の神輿を男性たちが担ぎ、各地区が出し物を披露します。この祭りに、新たな出し物として加わったのが「おぢか女子みこし」です。
「女性たちも神輿を担ぎ、町をもっとにぎやかにしたい」
佐藤さんは、商工会女性部や祭りの関係者、神社側に企画への思いを説明。神様を乗せる神輿とは別に、若い世代が祭りへ参加し、町を盛り上げるための出し物として認められました。
島中の力で、ゼロから形に
女子みこしの立ち上げが決まると、佐藤さんは商工会女性部の協力を得ながら、協賛活動や衣装、備品の準備に取りかかりました。地元の大工さんが手がけた神輿は、細部まで丁寧に作り込まれた本格的なものに。予想以上の出来栄えに、佐藤さんは思わず涙がこぼれたといいます。さらに多くの協賛が集まり、ピンクの法被や大うちわなどもそろいました。
「不安もありましたが、たくさんの方が協力し、応援してくれました」
一人の思いから始まった女子みこしは、島の人たちの力によって形になりました。
閉じ込めていた「キラキラ」を解放する
佐藤さんが女子みこしを通して、何より輝いてほしいと願ったのは、小値賀の中高生たちです。コロナ禍の中で学校生活を送り、人が集まる行事や、思いきり声を出して楽しむ機会が少なかった世代でもあります。
「小値賀の子たちは、真面目で穏やかです。でも、誰かの前でキラキラを爆発させたり、思いきりはっちゃけたりする機会がありませんでした。だから私が先に、無茶をして楽しむ大人の姿を見せようと思いました」
佐藤さんは学校へ出向き、企画の目的や活動内容を説明。学校側も、地域行事への参加として公欠を認め、生徒たちが参加しやすい環境を整えました。当初は5人ほど集まればと考えていましたが、実際に集まったのは、中学生10人、高校生6人の計16人。最初の顔合わせでは、生徒の一人が「私はギャルになりたかった。キラキラしたかった」と胸の内を明かしました。周囲の目を気にして閉じ込めていた自分らしさを、女子みこしを通して解放したいと、涙ながらに語る生徒もいたそうです。その姿を前に、佐藤さんは「この子たちが輝けるのなら、何でもやろう」と強く心に決めました。


「10月14日は、小値賀へ帰ろう」
踊りや掛け声は、佐藤さんが各地の祭りを参考に考えました。練習を重ねたメンバーは、本番で神輿を高く掲げ、声をそろえて町を進みます。参加した中高生からは「この時間がずっと続けばいい」「人生で一番楽しかった」、島の人たちからも「元気をもらった」「続けてほしい」という声が寄せられました。高校卒業後に島を離れた人にも、「10月14日だけは小値賀へ帰ろう」と思ってもらえる祭りにしたい。佐藤さんは、女子みこしがふるさとへ帰るきっかけになることを願っています。
「自分の故郷を肯定することは、自分を肯定することにもつながると思います」
女性たちが担ぐ神輿は、若い世代のキラキラを乗せながら、小値賀に新しい伝統を灯していきます。
CHECK|神輿が宙へ上がる瞬間に注目
女子みこしを高く掲げ、「まして、おぢか女子みこしはなおよかろ、ハイヤホイ」と声をそろえる場面は、見どころの一つです。
POINT|中高生の「キラキラ」を見てほしい
神輿の運行だけでなく、踊りや掛け声、表情にも注目。普段は穏やかな島の中高生たちが、思いきり声を出し、自分らしく輝きながら町を進みます。
【取材・執筆・掲載】fully編集部
【掲載先】fullyGOTO2026秋号


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